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献身的な介護の末の相続トラブル?! 80歳代の父がうっかり見落とした唯一の盲点とは?

人生100年時代と言われる超高齢化社会を自分らしく生き抜くためには、元気なうちからどこでどんな医療や介護を受けたいのか、そしてその役割はどなたに中心になって担当してもらいたいのかを考えておきましょう。これは、あなただけでなくあなたを大切に想うすべての人を守ることになるのですが、残念ながらこれに気付いてくれる人はまだまだ少ないのが現実です。

 

 

互いに仲の良い3人の娘を持つ、配偶者に先立たれてお独りで暮らす80歳代後半の男性がいました。彼は、最愛の妻や娘たちと長年過ごした思い出深い自宅で少しでも長く暮らしたいと願っており、その希望を叶えてあげたい3人の娘の中で唯一独身だった次女が仕事を辞めて父と同居し在宅介護を一手に引き受けることにしました。

そして、彼は3年半に渡る次女の献身的な介護を受け、見事に住み慣れた自宅で静かに人生の幕を閉じました。姉妹は心から次女の介護に感謝し、ささやかながら無事に父を見送ったのですが、父の遺品整理の場で、『どうしてこんなに費用が掛かったの』と予想もしないことを言われたのをきっかけに、最終的には裁判所を巻き込む相続トラブルへと発展、三姉妹は絶縁状態になってしまったそうです。

とても残念なことですが、介護をきっかけに相続トラブルに発展することはどこの家族にも十分起こりうる、と私は考えています。なぜなら、たとえ子どもが数人いたとしても親の介護を完全に平等に担うことはまず無理で、結局は負担を多く引き受ける方とそうでない方に分かれてしまいます。そして、実際に介護の負担を多く引き受けた方は遺産も多くもらってもいいのではないか、一方で介護の負担を引き受けなかった方にしてみれば、法律にはそんなことは何も書いてない、介護と相続とは話が別ではないかとなるのが人間の素直な感情だからなのです。

では、どうしたらこの姉妹はこんなみにくい争いをせずに済んだのでしょうか。それは、介護を受ける父が、元気なときに娘の中で誰に自分の介護を中心になって担ってほしいか、そして、その方の負担や苦労に報いると同時に他の子どもたちも含めていかなる配慮をするのか、きちんとした文書にし、あなたの意思を客観的な立場で遂行してくれる責任者、代理人を指定しておくしかない、と私はこれまでの経験から断言できます。

 

もし、私がもう少し早くこの男性と出会えたら、私は彼が元気なうちに彼が希望する介護の内容と3人の娘さんのうち誰が中心になって介護を担ってほしいのか、金銭管理なども含めたいわゆる介護の責任者を納得いくまで何度でも話し合いました。そして、介護を中心に担ってくれる方への配慮はもちろん他の姉妹への想いを付言というかたちでいっぱいに盛り込んだ遺言書を作成されることを強くお勧めしました。遺言書は、決して単なる法律文書ではありません。残された家族に対する感謝の気持ち、今後もわだかまりなく姉妹仲良く過ごしてほしい、など自分がこの世を去った後で自分の想いを残された家族に伝える最後の手紙として活用できることをご提案できなかったことがとても残念でなりません。

だからこそ、私はこれからも、遺言者の想いと家族の願いが理解できる法律専門職として、ひとりでも多くの方に『想いを伝え、大切な家族の絆を守ることのできる遺言書』のご提案をし続けていきます。