母が明らかに書いた遺言書を兄が偽造だと言っています・・・

昨日問い合わせフォームよりお問い合わせをいただきましたが、ご記入いただいたメールアドレスへ返信差し上げたところ、エラーとなりご回答をお届けできませんでしたので、この記事にてご回答させていただきます。

母が明らかに書いた遺言書を、兄が偽造だと言っています。
訴訟に勝てば、名誉毀損で訴えることができますか。

***** 様

このたびは、弊事務所にお問い合わせいただきましてありがとうございました。

ご質問についてですが、非常に難しい内容を含んでおり、また書かれていることだけでは判断が難しい場合もございますので、あくまでも参考程度にお考えください。

まず、お母様がお書きになった遺言書に対してお兄様が偽造だとおっしゃっているとのことですが、お兄様はどのような根拠に基づいてそのように主張されているのでしょうか。公正証書による遺言であれば偽造はまず不可能ですし、自筆による遺言であっても確かにお母様が書かれたということであれば、遺言としての法的要件を満たせば有効になりますので、あとは検認申立を行い遺言内容の実現(執行)ということになるかと思われます。

次に、名誉棄損のご質問がありましたが、お兄様がどのような言辞をどのような態様で主張されたかが不明なため一概には言えないのですが、おそらく名誉棄損で訴えるという刑事責任の追及はほぼ不可能でしょう。よほど悪質な事例でない限り、警察も相談として対応することはあっても被害届の受理は難しいと思われます。さらに、不法行為という形で民事責任を追及することも考えられますが、損害賠償として得られる金額は予想以上に低いもので、引き受けてくれる弁護士もなかなかいないと思われます。

それよりも、もしもお母様がすでに亡くなっているとすれば、このままあなたとお兄様で対立が続けばせっかくお母様が書かれた遺言書が役に立たないおそれがでてきます。相続は、人間関係の調整と適切な遺産の分配というデリケートで難しい内容を含む問題です。当事者の冷静な話し合いで、速やかに円満に解決されるためにも、このまま放置したり先送りしたりせずに、信頼のおける客観的な第三者、相続・遺言の専門家にご相談されることをお勧めします。

以上、参考になれば幸いです。

相続まちなかステーション
代表 加藤 俊光