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平塚でおなじみの相続の専門家がラジオで語る ~ 相続相談の現場から 3 遺留分を正しく理解しよう ~

平塚のまちなかも、あちこちですっかり色付き始めたとある日の午後でした

11月もいよいよ後半に入り、相続まちなかステーションのある神奈川・平塚でも、だいぶまちのあちらこちらで木々も色付き始めて冬を迎える準備が進んでいます。そんな、11月17日(木)の昼下がりにFM湘南ナパサ『ナパサタイムス☆アフタヌーン』にコーナー出演してまいりました。

 

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番組の内容 ~ 相続相談の現場から その3 ~ 意外と多い遺留分に対する誤解! あなたは大丈夫?! ~

2011年7月以来、おかげさまでナパサのコーナーでお話をさせていただくようになり、早いもので今回で65回目の出演となりました。今月も、相続まちなかステーションに実際に寄せられた相談事例をもとに、一般の方に知っておいていただきたいテーマを取り上げながらケーススタディをしていきたいと思います。

さて、今月は第3回目として遺留分を取り上げてみようと思います。遺留分といえば、一度くらいは聞いたことのあるという方も多い相続手続きにおける重要なテーマですが、どこかで誰かに聞いた知識のためでしょうか、誤って理解されている方や他の制度と勘違いをされている方を多く見かけるのも事実です。そんな、遺留分ですが、まずは実際に寄せられた相談事例をもとに出題をしますので、皆さんもご一緒にお考えください。

次の、相続や遺言に関する設問は、正しいか間違っているかを答えてください。

【設問】

十数年前に父に先立たれ、その後は長男夫婦と同居していた母が亡くなってまもなく半年が経とうとしている。他のきょうだいが、『そろそろ相続手続きを進めた方がいいのではないか』と進言しても、『預貯金はほとんどないし土地と建物だけだから』と言うばかりで、一向に相続手続きに着手しようとせずに相続財産である母名義の家に住み続けている。この場合、妹である私は、兄が相続財産を独り占めして遺留分を侵害しているものとして、兄に対し遺留分の支払いを請求することができる。

さて、設問の記述は正しいでしょうか?それとも間違っているでしょうか?

まず、(1)遺留分は、たとえ遺言や被相続人の意思によっても侵すことのできない法定相続人に認められた最低限の権利であると理解しましょう。そして、(2)遺留分は、兄弟姉妹を除く法定相続人に対して、法定相続分の半分が認められ、また、(3)相続放棄とは異なって、裁判所の許可を得れば相続開始前に遺留分を放棄することも認められます。これを本問にあてはめて考えてみると、(1)妹である相談者は法定相続人であるものの、遺言もなく所有権移転登記をしてしまったという事情もなく、兄が相続財産である土地建物に住み続けたまま、遺産分割協議をしようとしないというだけですから、遺留分の侵害があったとは言えないと思われます。とすれば、本問では遺留分が認められる余地はなく、相続人である妹は、まずは他の相続人である兄に対し、誰が何を相続するかの話し合い、いわゆる遺産分割協議をしてくれと申し入れることしか出来ないと思われます。

以上より、本問は誤りと判断できるでしょう。

【知ってるつもり?! 是非とも知っておきたい遺留分のポイント】

高齢化が進み多死社会がやってきた昨今、相続人となる方も増加の一途をたどっており、相続に対する一般の方々の関心も高まり続けているように思えます。テレビや新聞をはじめとするメディアでも相続を取り上げる企画を見かけない日はないといってもいいくらい、どこかで取り上げられています。しかし、氾濫する情報に惑わされて、誤解や勘違いをされている方もまた増加しているのではないでしょうか。事実、相続まちなかステーションにお寄せいただくご相談事例でも、『長男が親の名義の土地建物に住み続けたまま、相続の話を一向にしようとしない。何とか、遺留分だけでも請求したいのだが』と仰る方は年を追うごとに増え続けているように感じています。

そこで、遺留分を正しく理解していただきたく、そのポイントについて注意点をいくつか挙げてみました。

(1)遺留分は、遺言や生前贈与などによっても侵すことのできない法定相続人に認められた固有の権利である。
→ 遺留分が侵害された場合、1年以内に遺留分の回復を求めることができる

(2)遺留分は、兄弟姉妹には認められない。また、その割合は法定相続分の半分が原則である。
→ 直系尊属のみが遺留分権利者である場合は3分の1となる

(3)家庭裁判所の許可を得れば、相続開始前に遺留分の放棄をすることも可能
→ 相続放棄との違い、ただしその要件は極めて厳格である

 

番組出演の感想

今回のテーマは『相続相談の現場から その3 ~ 遺留分を正しく理解しよう ~』でしたが、相続手続の中では一度は聞いたことのある用語であるにもかかわらず、一般の方の間では意外にも誤解や思い込みの多いことを日頃から感じ取っておりました。そこで、ひとりでも多くの方が正しい認識を持っていただくとともに、判断に迷った時には私たち法律専門職に対しても相談することの必要性についても理解していただくきっかけをご提供できたとすれば何よりであると感じました。

 

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これからも、相続まちなかステーション 代表 加藤俊光は、身近な相続・遺言に関するテーマを題材にしながら、地域の皆様に役立つ情報をご提供できるよう頑張ってまいります。最後になりましたが、山田博康さん、そしてお聞きいただいたリスナーの皆様、ありがとうございました。